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ITの請負契約発注元注意事項

0.はじめに

 請負の仕事については、「ユーザーとプライムコントラクター」との関係と「プライムコントラクターと再委託先(パートナー会社)」との関係では以下の通り、異なる部分があることを念頭に対応する必要があります。

(1)プライムコントラクターはユーザーに対しては以下の責務を負う立場

 ベンダー(プライムコントラクター)のプロジェクト管理義務とは、ITの専門家であるベンダーが「請負契約のシステム開発で、ユーザーの目的を達成するために、自らの知見、経験を発揮し、プロジェクトを円滑に進め、ITの専門家としての責任を果たすこと」を約束するものです。

 例えばプロジェクトの進捗が遅れそうなときは、ベンダーはいち早く察知し、ユーザーに伝え、対策を提案しなければなりません。技術や体制などの問題があってプロジェクトがうまく進まないとき(進みそうにないとき)も、問題をリスクや課題として抽出し、対応策をユーザーに提案しなければいけません。

 ベンダーがこの義務を果たさず、プロジェクトがうまくっていないのに対策を提示せずに放置すると、不法行為と見なされます。損害賠償の対象にもなり得るので要注意です。

 例えばユーザーが次々と要件を追加、変更してスケジュールが苦しくなったときには、ベンダーは要件追加のメリット、デメリットを説明した上で、代替策を講じる必要があります。またそのために必要なら、スケジュールの延期や追加見積もりもしなければなりません。

 これ以外でも、ユーザーの体制が不備であることに気付いたり、要件の提示や各種情報提供が遅れたときも、ベンダーはユーザーに是正を求める必要があります。

 無論、スケジュールや費用の変更も、各種の是正依頼も、ユーザーが断ったり無視したりするのであれば、ベンダーはとがめられません。断られても、返事がなくても、とにかく「言うべきことは言う」ことが大切です。

   出典:atmarkit ITプロセスコンサルタント 細川義洋

(2)再委託先の関係ではプライムントラクターは以下の責務を負う立場

 再委託先の仕事の完成も含め、ユーザーに対してはプライムントラクターが全責任を負うことになります。

 従って、再委託先の進捗/課題などは常に管理し、問題がある場合は早急に手を打つ必要があります。

 再委託先の問題であっても、再委託先の上層部にエスカレーションして対策させるとか、最悪、再委託先の交代、プライムコントラクター自身での対応などを行い、ユーザーには迷惑を与えない対処が必要です。

 また、下請法を遵守した対応も必要で、プライムコントラクターと同じような責務を発注先には負わせられない場合があることも念頭にプロジェクトを推進することが重要です。

1.見積時

(1)必ず再委託先に見積もらせてからユーザーに見積回答しているか?

 再委託先は、人的リソースの空き状況によっては、ユーザーが期待するスケジュール通り対応できない可能性が十分にある。

 また、プライムコントラクターが想定する開発コストでは対応できない場合がある。

(2)見積前提条件を整理して提示しているか?

・ユーザーの粗い見積条件をそのまま再委託先に提示して見積もらせていないか?→プライムコントラクター自身がやっているから再委託先もやって当然ということは乱暴すぎる。

(3)見積リスク(基本設計、ユーザインタフェース設計、などの後工程で見積が変動する、など)を過度に再委託先に負わせる条件になっていないか?

(4)Time and Material契約でなければ対応困難なものを、成果で支払う契約にしていないか?

(5)条件が明確で、成果で支払う契約とすべきところを、Time and Material契約にしていないか?

2.見積~受注・発注

(1)常時再委託先に情報を連携し、見積条件/スケジュール変更などが発生した場合は、都度、再見積もりを依頼しているか?

(2)諸事情により再見積もり依頼が出来なかった場合、ユーザーからの受注額から逆算した発注額で無理やり依頼していないか?

3.フェーズ完了判定

 フェーズ完了判定は正しい手続きで実施しているか?完了判定の儀式をしなさいという意味ではない。例えば、仕様確定は仕様書の承認がなされることがフェーズ完了である。

 以降の工程は、承認された仕様書をバイブル(インプット)に推進する必要がある。再委託先に対しても、承認されたドキュメントをインプットにして次工程に着手させること。未確定状態で着手すれば、手戻が発生時しコスト、スケジュールに影響を与える可能性が大きい。

 合意され、明確になったものが無ければ、個々の解釈で次工程を推進することになり、認識の齟齬が発生しやすい。

4.「言わずもがな」であるが…

・契約形態に準じた指示命令で依頼しているか?(Compliance

・契約範囲外であっても(それを十分に確認もせず)、安易に作業依頼していないか?(Contract

・再委託先の仕事がプライムコントラクター側の準備不足で推進できない状況にならないよう、先を見て各種準備をしているか?(Risk Management

・発注先との良好な関係と「なあなあ」な関係を勘違いしていないか?

・発注先の責務による作業遅延などは、基本発注先で解決させること。    (Responsibility

・必要に応じて、発注元の現場責任者だけでなく、その上長にエスカレーションして改善すること。

・発注側である立場を利用した無理な仕事のさせ方になっていないか?発注先にも、他社から受けた仕事がある、個人の育成スキルパスに応じたジョブアサインなど、自社の都合がある

                                  以上